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ILH代表黒部のブログ

ムンバイ便り 3

インドの子供たちの英語事情の続きだが、貧富の差がメチャクチャ激しい国で、全うな教育を受けられる子供はほんの一握りである。富裕層は民間経営の幼稚園に行く。月謝も高い代わりに至れり尽くせりのカリキュラムで、ちょっと詰め込み教育の感もある。次が宗教団体、特にキリスト教会が運営する幼稚園、特にインド南部に多く、料金も手頃である。ただヒンズー教とイスラム教の子供たちはまず入らない。仏教徒は軟弱だから入る子もいるが、理由は英語教育が行われている事。最後に村の保育所がある。ここでは英語は教えられない。時たま良心ある村長が子供の将来を思って英語の教師を雇い入れるが徹底しているわけではない。以上の構造から、富裕層の子供たちは小さい頃から英語教育を受ける事ができるため、結果欧米の大学に留学したり、一流企業に就職する路線が引かれる事になる。キリスト教会組はまずます会話はできるが、大学までは経済的に無理な家庭事情の子供が多いから、せいぜい店の店員やレストランの店員がいいとこだろう。インドは村に入れば入るほど英語が通じない。村出身の若者で英語が話せる連中は、そのほとんどが独学で英語を学んでいる。高学歴を取るための英語にはほど遠いが、かれらにとっての英語は生活に欠かす事のできない、生きる糧となっている。そしてもう一つ、独学英語のエキスパートにストリートチュルドレン達がいる。映画「ミリオンダラースラムドッグ」をご覧になった方はご存知かもしれないが、道の真ん中で物売りをしたり、娼婦斡旋や麻薬の密売のアシスタントをしたり、それは想像を超えた職についている子供たちの英語も生きるためのそれだ。自分のボスや兄貴分から盗み取った耳からの英語は力強い。なんせ生きるか死ぬかが英語にかかっているといっても過言ではないほどに、自力で英語をものにする。
さて、今の日本の子供たち、小学校では国際理解とか、外国人とのふれ合いとかなまっちょろいことを言っていると、将来にこの国はどこかアジア列強の植民地と化しているかもしれない。これは全く冗談でもなんでもない怖い現実だ。
今このブログを読んでいただいているパパやママに言いたい。もっと真剣に子供たちの将来と英語を考えてください。

ムンバイ打便り 2

ムンバイがインド最大の都市だということは前回話したが、ニューヨークや東京とは違うダイナミズムがある。その中心が「人」いったいどこからこんなに人が出てくるのかと思うほど、朝からてんやわんやしている。車やオートリキシャは無秩序に走りまくっているが、人々はその間をまるで泳ぐように行き交っている。ママとキッズも平気で車と車の間を歩き抜けてゆく。学校、特に私立の学校のお迎え時間には、校門の前にすごい人だかりができ、完全に道路の一部を封鎖してしまっているが、交通整理のおまわりさんは、車に迂回させている。道路の真ん中でママ同士が立ち話していても、車がよけていく。限りなく無秩序に近いインドの交通秩序だと理解した。
 教育の話にもどる。インドの都市部での教育は英語でなされている。農村部ではそれぞれの州の公用語が使われているが、デリー、ムンバイ、チェンナイといった都市の子供たちは英語を話す。インド英語はアクセントが強く、インド映画を見た後は気をつけないと発音がインド英語になってしまうほど影響力が強い。ところが今このインド英語がビジネスでは強いらしく、押しの強い交渉が必要なときにはインド英語に変わるといった笑い話もあるほどだ。子供たちにとってアジア人、特に日本人はめずらしく、英語で話しかけてくる。このような光景、日本も終戦直後にはあったようだが、今は知らない人に声をかけると連れて行かれますよというママの心配のほうが優先してか、日本の子供が自ら外国人に声をかけるのはまずといっていいほど無くなってしまった。そのせいかどうか、日本の子供はMy name is..., I am 4 years old...までは言えても、その後が続かない。これは3年英語塾に通っていても先生から質問されない限りは会話が進まない状態になっている。いかに日本の幼児英語では先生主導の学習がおこなわれているかの結果である。インドの子供たちは逆に人を質問攻めにする。Japan? where? City? do you like this? What is this? I want this...3、4歳の子供たちが口々に質問してくる光景にこの国のエネルギーが長い将来続くような気がしてくる。ほかでもない、彼らは自分の考えで、自分の言葉を話しているからだ。  つづく

ムンバイ便り

インドのムンバイが横浜市と姉妹都市だということを知っている方は少ないかもしれない。私もある会合で偶然知り、今回のインド出張に合わせて駐在事務所を訪問した。ムンバイ、昔の名をボンベイ、今でも地元住人はボンベイという呼び方が好きだという。1400万人の人口がひしめくインド最大の都市だが、町を歩くと「ボンベイ」という名がぴったりくるような下町的市場がそこかしこに点在する。インドの地図を見ると、デリーが北、コルカタ(カルカッタ)が西、ムンバイは東に位置するが、市民の気質は南に近く、都市にしてはデリーのような緊張感はない。ただ横浜市と比べると、その人間エネルギーはすざまじく、10年、20年先を想像すると、横浜はオシャレな国際都市なんて気取っている場合じゃないと痛感する。それよりも今私たちのもっている、日本が誇れる商品をインドに輸出することはできないのだろうかと考える。それもハードでは将来性がないので、ソフトを考えてみた。
 ランゲージ・ハウスが、保育園、幼稚園、小学校に外国人講師+英語プログラムという形で提供し始めて8年になる。この事業を通して、日本の保育システムは海外でも十分通用するシステムを備えていることを知った。ニューヨークでもパリでも、シンガポールでも、ブラジルでも、オーストラリア、ニュージーランドでも、世界の幼稚園を視察しながら、いつも思うのは「日本はスゴイ!」だった。保育システムが完結に整備されていて、プログラムの流れがわかりやすい、保育士の責任分担が決まっていて、全体の動きが把握しやすい、など、海外の幼稚園にはない機能がたくさんある。もちろん創造力を必要とするプログラムコンテンツは海外の方が秀でているかもしれないが、このシステムだけを取り出し、海外の幼稚園や保育園、特にインドのような女性の社会進出がハイスピードで始まっている国に提供していくことはできないかと考えた(つづく)

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